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地すべり学会第43回研究発表会 発表内容

平成16年9月1日
 当社調査部の新田、緑川、黒森、矢内が、9月1日〜2日に秋田市で開催された地すべり学会で研究発表を行いました。

 テーマは「地下水排除工を考慮した三次元FEM浸透流解析による地下水位の検討例」で、地すべり地に施工された集水井工、集水ボーリング工による地下水位の変化を、三次元の解析モデルとFEM(有限要素法)による浸透流解析手法を用いて解析したものです。

【研究のポイント】

 今回の解析では、数値モデルに集水ボーリング1本1本の形状を反映させた高精度の解析であった点と、実測データとの比較検証により、数値解析による予測手法の有効性を示した点がポイントであったと思います。

三次元解析メッシュ

数値モデル中に埋め込まれた集水井工の要素、集水ボーリング(節点)の3Dイメージ

[計算出力例1] 地下水面(圧力水頭=0の等圧面)の表示例
集水ボーリング形状が反映された地下水位面を三次元的に評価できました。さらに、降雨量に応じた非定常解析を実施し、地下水位の経時的な変化を追跡しました。


【三次元解析の必要性と工費節減への寄与】

 地すべり地における地下水位は、地形や地層形状により三次元的な分布を示し、さらに集水ボーリング工などを導入した後の分布形状は複雑であると想定されます。したがって地下水排除工による水位低下は、本来三次元で評価されなくてはならないのです。
 ところが、安定解析が二次元解析であるのが一般的であるため、現状では水位の評価も二次元断面上での議論しかなされないことがほとんどでした。このため、水位変化の想定、すなわち地下水排除工の効果の評価は、非常に曖昧なものでしかなく、多くの場合、経験的な概略値で推定するといった不確かな方法で評価していました。

 しかし近年、安定解析が三次元で行われるようになってきており、地下水排除工の効果の評価も、三次元的に行う必要性が非常に高まっています。このとき、今回発表したような三次元での数値解析手法が大変有効なツールとなり、解析精度も向上すると考えられます。三次元効果を正しく評価することにより、より効率的な対策工計画や対策工事費の節減に寄与することができるのです。

[計算出力例2] すべり面付近の水頭圧分布表示例
 三次元計算によって間隙水圧の空間分布が立体的に評価されます。三次元安定計算においては、このすべり面における圧力分布を反映させ、三次元安全率を評価する必要があります。

[計算出力例3] すべり面付近の水頭圧低下量コンター図表示
 同一の降雨条件のもとで、対策工前と対策後の2ケースの三次元計算を行い、水頭圧の差(=水圧低下幅)をコンター表示したものです。対策工の効果について、その量や範囲を三次元評価することが、今回の解析法により容易に可能となりました。


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